今年も鎌倉にユリの花がたくさん咲きましたよ!
暑い夏が早くも全開で来てしまったけれど、一昨年前に玉縄小学校や玉縄生涯学習センターに子どもたちと一緒に植えた球根が6月半ばごろから開花です。昨年に続き植え替えなしの2回目。この球根たちは強いなあ。ありがたいことです。
鎌倉とユリの特別な関係。それは玉縄を中心に明治~大正時代に輸出用のユリの球根を栽培していたこと、そのためか地域全体にたくさんのユリが自生していること、玉縄地域では角田家を中心に輸出で得た資金を学校運営に回していたらしいこと、戦後はフラワーセンターがユリ栽培を続けていたことなどから伝わります。
そんなユリと地域の歴史を考える観察会を、昨年は展示を含めて9回も開催できました。残念ながら今年は開けなかったけど、小学校の校門前や中庭のユリを見て、玉縄小学校とユリの関係を思い出してくれた小学生のお友だちもいたと思います。
ご参加、ご協力くださったみなさま、ありがとうございました。
鎌倉のユリはまだまだ続きます。7月初旬ぐらいまで、山ユリが開きますよ。
下記は昨年のユリの観察会のご報告です。
鎌倉では明治大正時代に、ユリの球根を輸出していました。この地の山で採取または栽培された球根は横浜港から欧米に向けて海を渡り、海外で花を咲かせて教会や王室を飾ったのです。そこで得た資金が学校の運営にあてられました。ユリ・プロジェクトはそんな歴史を踏まえて、今でもユリの多い鎌倉で、子どもたちがユリを栽培し、自生するユリや生き物を観察し、合わせて地域の歴史や環境を理解して地域にユリをふやしていこうとするものです。天候不順やコロナの影響もある中で、9回の講座と展示ができました。
2021年子どもゆめ基金助成事業
5月7日 今泉台
コミュニティ・カフェ6丁目クラブにて、ユリ講座を開催。
- 紙芝居を使いながら、ユリの山取り、栽培によるユリ球根輸出の話を説明。
- 当時の文献(絵)から明治20年代にユリ栽培が行われていたことを理解する。
- 当時のイギリスでの価格にびっくり。
- ユリで得た資金が地域の為に活かされたことを説明する。
- 室内にユリ数本を堀りあげて観察する。(つぼみが出ている様子、膨らみ方、意外に根が少ないことなどに気付く)
- アブラムシを取り除く
- よく観察して、絵を描く。
- 絵の具の使い方、筆の滑らせ方など、渋谷先生にご指導いただく。
「ユリをよく見てまずは描いてみよう」
「どの位置から見るか、葉の様子はどうかを決めると描きやすいよ」
「ユリをきっかけにして、自由な絵を描いてみよう」
5月30日 玉縄小学校中庭
100本以上のユリが育ち、つぼみがかなり膨らんだが、まだ咲いてはいない。
学区外の子どもは、中庭の入り方が分からなかったようだ。
- 紙芝居を使って、地域とユリ栽培の話をする。
- 小学校の中庭にユリをたくさん植えてある訳を話す。
- 小林先生監修の、ユリの資料写真と、ユリの球根(1年未満、1年目、2年目)を使い、育ち方や、葉の茂り方の特徴を話す。
- アブラムシ取り、雑草抜き
- よく観察して、絵を描く。
- 絵の具の使い方、筆の滑らせ方など、渋谷先生にご指導いただく。
「ユリをよく見てまずは描いてみよう」
「どの位置から見るか、葉の様子はどうかを決めると描きやすいよ」
「ユリをきっかけにして、自由な絵を描いてみよう」
6月11日 今泉台
テッポウユリが各所ですでに開花、一部枯れ始めているとの報を受け、急遽、ユリ授業。
天気が良いので外で、満開のユリの絵を描いてみる。今回はユリの話は短め、絵に集中。
地域の大人たちも立ち寄ってくれた。
- 紙芝居と、写真を使いながら、ユリの歴史や、今泉台の自生のユリの多さを話す。
- 昭和の初めにはご近所に競馬場があったことを話す。今でいうふれあい動物ひろばの感じ。ユリの資金が使われたらしい。
- 川原先生の声掛けで絵を描きだす。今回は「よく見て」「空間をいっぱいに使って」「形や色を工夫して」描く。
- 動きのある大胆な絵から、デザインのようなものまで、思い思いのユリの観察の絵ができた。
6月13日 玉縄行政センター中庭、フラワーセンター
中庭のテッポウユリが満開。つぼみもあり、これからしばらく楽しめそう。
- 玉縄で、「ユリと玉縄小学校の話」の紙芝居。
- 大人のくいつきがすごい。初めて聞く近代の歴史のため?
- ヤマユリがこの地域で減ってしまった実情と背景を住人から聞く。
- ユリの観察、花の特徴(星のような花弁の重なり、厚さ)や、今いる虫たち。
- 虫たちを覚えながら室内へ、チョウの博士 上村先生のお話。
- 日本にいる100種の蝶、玉縄で見られる約60の蝶。
- 渡りチョウもいることにびっくり。
- 香りが強いユリはチョウが大好きな花
- 植生で、生息する場所が違うことを学ぶ。
では、フラワーセンターに行って、もっと植物とユリを見てみよう!(センターに移動)
- たくさんの蝶やトンボなどムシを発見。上村先生はつど、解説をしてくれる。
- 大岩先生が、植物の話をする。
6月27日 今泉台
コミュニティ・カフェ6丁目クラブにて
- 始めて来てくれた子のために「ユリと玉縄小学校のお話」紙芝居を今泉台バージョンにして上演。今泉台は山ユリの群生が住宅地内で見られる話をする。
- 上村先生の紹介(日本の蝶の種類、ここでは約60種類が見られそうとのお話)
- この地に多い樹木や雑草とそれに集まるチョウの名前を先生の著作で簡単に調べる。
実際に散策する。いざ出発。
- 「今泉台ヤマユリの会」の案内の方を紹介。今泉台のヤマユリの場所を案内いただき、会の活動などを語ってもらう。
- その間も、チョウを探し、見つけると種類を同定していく。シジミチョウ、ルリシジミ、アゲハなどがみつかる。
- ユリ協会の会員でもある廣瀬さんが今泉台の山ユリの特徴などを語る。
- 林の表面の少し日の当たる崖が好き。転々とした崖地を探して歩く。
- 人がなんとなく手入れをする(下草狩り)場所に生えている。
- 日あたりの関係で、南向きの斜面から咲いてきたことを聞く。
約1時間半、ユリとチョウを見つけながら歩く。
6丁目クラブに戻り、水を飲んだ後、鎌倉にいるチョウとユリのスライドを見る。
- 今日見たチョウをスライドで確認し、見られなかったチョウもスライドで紹介。
- 今泉台と里山とユリの話(150年以上前)、1880年代から本格化したユリ球根場植木の話、1950年代から山を削って始まった今泉台の開発の話、その結果、保全林として残った里山(崖)とユリの話(スライド)
- ユリの成長のスライド
7月6日~13日 展示事業 地下道ギャラリー
鎌倉・地下道ギャラリーにて「海を渡った鎌倉のユリ2」を一週間展示。
- 明治から大正時代、鎌倉中で行われた貿易用のユリの山採りと栽培の歴史を資料(文書と、大正時代のユリカタログなどの画像、昨年からのユリを植える活動の記録)を展示。
- 近代の鎌倉を豊かにした「産業」であったことを伝える。
- 子どもたちのユリの絵を展示
7月9日 今泉台
ユリの保存や育成にかかわる人たちが集まり、ユリ育成の第一人者「永留先生」の話を聞く
- 今泉台開発の歴史とユリ
- ユリの群生を大きくするには
- ユリがタネから育つ(山ユリの場合はタネからだと4年以上かかる、群生になるには10年以上)サイクルを学ぶ。
- ユリの好む環境づくりと、ユリを保護する手入れ(下草狩り)のタイミング
- 盗掘を防ぐには
実際にユリを見ながら群生の場所と世代交代を学ぶ。
- 一ッ葉(次世代のユリ)発見!
- 草を刈られてしまった4号緑地(100本以上のユリの株を確認)
- ユリ マップ作製の大切さ
8月31日 今泉台
ユリの実を観察して絵を描こう
タネをとる。ユリのタネはどんな風になっているのかな?
どんなふうに育てるのかな?
- 20本ほど植えたユリで1本だけタネをつけたよ。観察して記録にとどめておこう。
- タネがたくさん入っている実は、乾燥してはじけそうだよ。
- タネは薄くて、すぐ風に乗って飛んでいきそうなかたち。タネに白い筋が1本入っていて、それが胚。それが4年以上かけて育って花をつける。
- バーミキュライトで育ったユリの根を見せてもらう。ここまでで10か月
- タネを10粒筒封筒に入れて分ける。12月ごろにバーミキュライトに植える予定。
11月14日 広町緑地
大人も子どももいることから、森でも展示できるパネルと紙芝居を用意した。
- ユリの球根貿易とその栽培の歴史(紙芝居とパネル)
大人の興味が大きい。 - ユリが成長するまでの説明(紙芝居のページと写真)
- ユリのタネのある場所(探す)
- ユリのタネの蒔き方の説明(直播と室内蒔き)
- バーミキュライトとジップロックを使って実演→種の配布
- タネの入ったサクの観察
2021年ユリの観察会の記事はこちら。
2020年ユリ植え付けの記事はこちら。
投稿者:CanCan
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