外資系IT企業の要職を歴任してきた高橋俊之さんが、パン屋さんになったのは、小学校5年生と2年生の2人のお嬢さんがパン好きだったからだそうです。今年6月に鎌倉駅近く、御成通りの安保小児科跡から市役所方面に抜ける細道にパンのお店『鎌倉利々庵』を開店し、オーナー・プロデューサーとして活躍されています。
このお店は家業を持ちたいという高橋さんの気持ちが出発点。10年ほど前から準備を始め、いくつかあった候補の中からパン屋さんを選んだのだとか。パン作りはとてもサイエンティフィックで理論的なアプローチが可能という点が性に合うのだそうで、『鎌倉利々庵』のパンは子どもたちが毎日3食食べても大丈夫なように、どの材料も安全性、味、品質を吟味し、手間を惜しまず作られています。
たとえば、ドイツ直輸入の有機ライ麦を使う場合、その栽培方法から日本までの輸送過程での貯蔵法まで確認していますし、揚げパンに使う油もコストよりも品質を優先して選んでいます。人気のカレーパンはカレーフィリングのレシピ開発から手掛け、すべてをお店で手作り。山型の食パン、パン・ド・ミは、砂糖を一切加えず湯種の仕込みに手間と時間をかけて甘みを出しています。
噛むほどに味わいがあるビアブレッドには市内のブルワリー『鎌倉ビール』のペールエールを使用、シチューやスープにぴったりの食事パンです。ひまわりの種やかぼちゃの種など、たくさんの穀物を混ぜ込んだメアコンブロートを週に2,3回食べているお店のスタッフは、おなかの具合がとても良くなったのだとか。
「おいしいパンを作ろうとすると、リッチで濃厚な味に走りがちです。でも、それはパンの栄養バランスを悪くする。パン食は不健康というレッテルを貼られている側面がありますが、おいしさとヘルシーさを両立させたパンを作るのが私たちの使命」と、高橋さんはおっしゃいます。
実際にお店でパンを作っているのは、パティシエさんをはじめ全員が女性の職人さんです。生地の扱い方、成形、衛生管理の面で女性ならではの良さが出ていると髙橋さんは言います。調理師学校の製パンコースに通って調理師免許を取得した後、パン技術研究所でパンメーカーの研究員やプロのパン職人に混じって専門知識を学び、食育インストラクターの資格も取得した高橋さんが全てのパンをプロデュース。職人さんたちがチームで製品化しています。
「『鎌倉利々庵 』が、鎌倉に住む人、訪れる人に親しまれるパン屋になってくれたら」と高橋さん。10月からはお店の3階でパン教室も始まるそうです。
■鎌倉利々庵
●鎌倉市御成町10-19
●ホームページ http://kamakura-lilian.com/
●お問い合わせ 0467-61-3005
投稿者:CanCan
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