最近、「居場所づくり」とか「居場所が必要」などという言葉を耳にするようになりました。「居場所」はよく使われてきた言葉だけど、ここのところの使われ方は以前とちょっと違って「そこにいる人が認められる場」「寄り合える場」とでも言える、「社会的にゆるやかにつながることができる場所」という意味合いを含んでいるようです。
組織じゃなくて、特に決まったプログラムがあるわけでもなく(プログラムがあっても参加しない自由もアリ)、いろんな人が、いろんな目的で、開場時間中は出入り自由で、思い思いに時間を過ごせる、でもちょっと挨拶したり、話したりもできる場所、ぐらいの感じでしょうか。
いつから「居場所を作る」…という言われ方をするようになったのでしょうか?
ターニングポイントは20年ほど前。高齢独居の方が誰にも知られずに亡くなる、いわゆる孤独死がたびたび起こり、社会的な孤立を防ぐ取り組みが必要だと言われ始めました。その後、児童虐待、引きこもりの増加、貧困、DV(家庭内暴力)など社会的な課題が次々と明らかになります。
ひとたび学校とか会社などわかりやすい閉じた場にいられなくなった時、人は社会との接点をなくしてしまいます。町内会や民生委員、昔風の親切な近所の人ですら、今は余力がなく、プライバシーを気にして声をかけにくくなり、適当な行政サービスもなかったりします。
居づらさを抱えた人、こもりがちな人、行き場のない人等に向けた居場所づくりとして、市民の手でさまざまな取り組みが行われています。コミュニティカフェ、子ども向けや高齢者の過ごしやすい場づくり。固定的な場所もあれば、生涯学習センターなど公共施設を借りて随時開かれる居場所事業などさまざま。
物理的な「場」の確保やそこで運営する「人」に対して、資金的な支援をする自治体や財団も出てきました。藤沢では「地域の縁側」事業として居場所施設の運営団体に費用を助成していますし、横浜では子ども食堂などの「子どもの居場所事業」の運営費を補助しています。残念ながら今のところ鎌倉市にはこういう支援はありません。
こうした居場所事業が社会との接点を贖う、とまでいかなくても、社会とつながる第一歩になり、必要な人に福祉や行政のサービスとつながる機会を提供できそうです。
今後のレポートで、いくつかの「居場所」づくりの事業をご紹介していきたいと思います。
お楽しみに!
投稿者:CanCan
コメント